いずれアヤメかカキツバタ…
という言葉を聞いたことはありませんか?
菖蒲(アヤメ)も杜若(カキツバタ)もよく似た美しい花で、区別するのが困難なことから、このようなことわざになりました。
元は、源頼政が怪しい鳥を退治した褒美として、菖蒲前という美女を賜るときに十二人の美女の中から選び出すように言われて詠んだ歌からきたものだそうです。
また、同じように見分けがつきにくい花に「菖蒲(ショウブ)」があります。
「菖蒲(アヤメ)」も「菖蒲(ショウブ)」も漢字が同じなので、さらにわかりづらいですね。
漢字は同じでも、アヤメとショウブは別物です。
ショウブといえば思いつくのが、「しょうぶ湯」。ですが、お風呂に入れるあのショウブに咲く花が、アヤメと並ぶ花だと思ったらそれはまた違うのです。
アヤメ、ショウブ、カキツバタ… かなりややこしいです。
少し整理してみましょう。
まず、菖蒲湯のショウブはサトイモ科。葉っぱがにているだけで、アヤメなどと並ぶ美しい“花”ではありませんので、覚えておきましょう。
菖蒲園などで美しい花を見ながら、「菖蒲湯に入れてるのがこれだね」なんて、うっかり口にしないように。恥ずかしいですよ。
さて、花についての違いです。
「花ショウブ」「アヤメ」「カキツバタ」はアヤメ科アヤメ属。
同じグループの花の仲間です。
■咲く場所
アヤメ→畑・草原
花ショウブ→水分の多い草原
カキツバタ→湿地・水辺
■花
アヤメ→花弁の元に網目状の模様がある。背は高くなく、葉が細い。
花ショウブ→花弁の元に黄色の目型模様あり(花色や花形
の種類は多いが、花弁の元に黄色い目型模様がある)。葉幅がは様々だが、主脈がはっきり出る。
カキツバタ→花弁の元に白い目型模様。葉幅が広いが、主脈は目立たない。
花の見た目で見分けるなら、花弁の元を見ることです。
網目ならアヤメ、黄色なら花ショウブ、白ならカキツバタ、ということですね。
5月の中旬から6月上旬にかけて、紫の美しい花が楽しめる季節。
ぜひ、いずれがアヤメかカキツバタか、見分けてみてください。